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雑誌『Number』の将棋特集がすばらしい

どうもtamaminaoです。

藤井聡太二冠のおかげで、将棋ブームがますます過熱しています。以前の記事に書いたのですが、私はいわゆる「観る将」です。

 

tamaminao.info

 

「観る将」とは自分では将棋を指さない(指せない)けれど、テレビやネットの将棋中継を観て楽しむファンのことを言います。

私は厳密には将棋を指すのですが、ここ数年はたまぁにしか指さなくなってしまったので、まぁ「観る将」のくくりでよいかなって思ってます。

 

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そして、これは私の中の造語ですが、

「観る将」+「読む将」

です。

将棋漫画は出る端から読んでおり(将棋漫画はものすごく面白いですよ!! しつこいですが💦リンクを貼っておきます)、さらに、将棋をテーマにした小説や評伝も大好物です。

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最近では、『Number』の将棋特集がすばらしかったので、今回はそちらをご紹介したいと思います。

 

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『Number』(文藝春秋)の将棋特集は23万部という爆売れ!

 

『Number』 の正式名称は『Sports Graphic Number』スポーツ・グラフィック・ナンバー。

まぁ、その名の通り、「スポーツ選手を取り上げる、特に写真が素晴らしい雑誌」、というのが私のイメージでしたが、その『Number』が創刊40周年を迎えて初めて特集したのが、何と「将棋」! 

昨年9月の発売でした。

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「藤井聡太と将棋の天才。」と題された1010号は、将棋ブームの波に乗り、増刷につぐ増刷へ! 大変な売れ行きを見せ、23万部を記録しました!

記事はもちろんですが、やっぱり写真が素晴らしくて…。

こちらに載せられず残念ですが、佐藤天彦九段と中村太一七段のインタビュー写真が、古い木造の民家の縁側で将棋を並べているところなんですが、ノスタルジックで最高に雰囲気あります。

 

やっぱり出た! 『Number』(文藝春秋)将棋特集第2弾

Number(ナンバー)1018号[雑誌]

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  • 発売日: 2021/01/07
  • メディア: Kindle版
 

 

売れ行きに味をしめた、なんて言っちゃいけないのですが、その後1018号でも、『Number』(文藝春秋)は、再度、将棋特集を組みます。今年の1月発行です。将棋特集第2弾ですね。

やっぱりこちらも表紙は藤井聡太2冠。タイトルは『藤井聡太と将棋の冒険』。2回目だから内容が劣る、なんてことがないのが、さすが『Number』!

将棋が分からない人から詳しい人まで、しっかり楽しめるレベルで棋戦や棋士の棋風について解説しつつ、人柄や思いにもがっつり肉薄しています。

 

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 一押し記事は永瀬拓矢王座の「生命としての将棋」

2冊それぞれに、心に残った記事があるのですが、特に感銘を受けた記事を1つだけ紹介したいと思います。第2弾1018号に掲載された記事

「生命としての将棋」永瀬拓矢

 

www.shogi.or.jp

 

永瀬王座は、「令和四強棋士」(藤井聡太、豊島将之、渡辺明、永瀬拓矢の4棋士を指す)の一人に挙げられる強豪。その将棋の特徴は、久保利明九段の次の言葉がよく表しています。

 

「永瀬さんの将棋には人を狂わせるところがある。優勢なのに粘る手を指すんです」(『Number』1018号より抜粋)

実際、2020年の豊島将之との叡王戦(えいおうせん)では、

史上に残る長手数の「永瀬ワールド」を展開し、将棋ファンを呆れさせた

bunshun.jp

まぁ、ファンから見ても相手を「狂わせる」(笑) 将棋を指す棋士です。

今回の記事内では、本人は「超一流になるためには「毒」を抜かなくてはならない」と話していて、ちょっと意外でした。私はそれが彼の強さであり面白さだと思っていたので。

 

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勉強もダメ、スポーツもダメ、登校拒否だった学生時代

将棋ファンの間では「軍曹」と呼ばれる永瀬王座。その将棋への姿勢は「ストイック」と表されることが多いのですが、彼は、それは違うのだと語ります。なぜなら、自分は恐ろしいほど何もできないタイプの人間だったから、と。

 

多彩な方が、選択肢がたくさんある中でこれ一つを選んでやる、というのがストイックだと思っていて。選択肢が一つしかない人がそれをやるのは、別にストイックだとは思ってないんです。だって、選択肢がないわけなんで。これしかないわけなんで。

小学2年生からいろいろ習い事をやったんです。書道、水泳、公文式…でも、何をやってもできなかった。人並にすら、できなかった。恐ろしいんですよ。何をやってもできないというのは。

 

いじめは小学校…記憶が曖昧で…中学校では結構ありました。暴力もあったと思いますけど、一番キツかったのは言葉ですかね。まぁ、覚えてないほうがいいでしょうね

(中略)

いや、登校拒否でしたよ、普通に。小学校はずっと保健室にいたイメージですね。よく胃が痛くなっていて。中学は行ってたんですけど、ほとんど記憶がない…

 

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将棋との出会いが彼を救った

そんな永瀬王座が将棋に出会ったのは9歳のとき。祖父がクリスマスに盤駒を贈り将棋の手ほどきをしてくれたのだそうです。

 

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将棋に出会えたのは幸運でした。本当に運がよかったと思います。あれで運命が変わった…正確には、変えていった

 

以来将棋漬けの日々が始まり、小6で奨励会に入り、17歳のときにプロになります。

奨励会時代には、「うちの将棋部を強くしてほしい」と請われて高校に進学するものの、教師の怒鳴り声に驚き2日で退学、という騒動も起こします。

当時はまだ奨励会員。プロになれるかどうかなんて何の保証もないのに、高校を退学してしまったら将来はどうなるのか。心配する両親を「絶対にプロになるから僕を信じて!」と説得したそうです。

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記事の最後、記者が永瀬王座に「永瀬さんにとって将棋とは何ですか」って聞くのですが、長考に沈んだ後の彼の答えは
「生命です」

 

私はこの答えにやられましたね。

「自分みたいなタイプは、少年時代は絶対に辛いんですよ。社会に合わないので。」

などの言葉からも、彼がこれまでいかにつらい思いを重ねて生きてきたかが分かります。そして、そんな彼が、将棋によってどれだけ救われたのかも。「生命」をかけるくらいに大切なもの、であると同時に、彼の「生命」を保ってくれたもの、それが彼にとっての「将棋」なのでしょうね。

親目線からも感慨深い

そして、この年になるとぐっと感情移入してしまうのが、永瀬王座の親の気持ち。

スポーツも勉強もできず、学校にはなじめず、いじめにまであって登校拒否になる息子……。本人の地獄の辛さはもちろんですが、親もつらい、本当につらい。

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高校を辞めてきたときも永瀬の親は当然狼狽します。

だって、将棋以外得意なことがなく、世渡りも下手な息子が、学歴すらなくなるわけです。もしプロになれなかったら? 中卒で生きていけるスキルがこの子にあるのか。いや、これはもう親としてはめっちゃ考えどころですよね。

しかし、永瀬の両親は、保証のない「プロになる」という息子の言葉に折れます。

「あの子の行き場がなくなる方が怖かった」とは母、伸枝さんの回想だ。

 

私は父、宏さんがしみじみと言っていたことを思い出した。「あの子にとって将棋は子供の頃から『生きるための術』だったんじゃないか。もし取り上げていたらと考えるとおっかない……」。

 

 好きなことをみつけて、そこに力をとことん注いでゆくことの凄み。そして、未来への保証のないその努力と集中を見守った両親。

親世代にも、中高生にもぜひ読んでほしい記事です。

『Number』の将棋特集は、他の記事も読み応えたっぷりなので、2冊どちらもおすすめです。

 

 

 

 

 

【おまけ】将棋をテーマにしたおすすめ本

さて、最後におまけを。

内容についてはまた今度詳しく語ろうと思いますが、下記の本たちも猛烈に面白いのでまずはリンクだけでもご紹介しておきます。

『聖の青春』は映画化されて松山ケンイチが村山聖役をやりましたね。『うつ病九段』も少し前にドラマ化されて、先崎学役は安田顕でした。ほんと、将棋ブームですね。

いずれの本も「将棋なんてまったく興味ない」という方も楽しく読めます!! ゴールデンウィークに、新しい扉を開いてみませんか?

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 

真剣師 小池重明 (幻冬舎アウトロー文庫)

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  • 作者:団鬼六
  • 発売日: 2015/07/24
  • メディア: Kindle版
 

 

 

将棋の子 (講談社文庫)

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  • 作者:大崎善生
  • 発売日: 2014/07/18
  • メディア: Kindle版
 

 

 

聖の青春 (角川文庫)

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  • 作者:大崎 善生
  • 発売日: 2015/06/20
  • メディア: Kindle版
 

 

 

うつ病九段 プロ棋士が将棋を失くした一年間 (文春文庫)
 

 

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