藤井聡太二冠の活躍で、将棋界が激熱な1年でしたが、みなさん、「観る将」という言葉を知っていますでしょうか? 「観る将」とは自分では将棋を指さない(指せない)けれど、テレビやネットの将棋中継を観て楽しむファンのことを言います。
私の場合は、厳密には将棋を指すんですが、あまり強くないもので、流行のネット将棋等はまったくやっていません。最近はネットの将棋中継をもっぱら観る側なので、自分としては「観る将」を名乗っています。
さて、そんな「観る将」の私が本日おすすめしたいのが「将棋漫画」。将棋漫画の世界は深いんです、熱いんです! 是非読んでもらいたい4冊をご紹介します。
伊奈めぐみ『将棋の渡辺くん』
「渡辺くん」とは渡辺明名人のこと
タイトルに出てくる「渡辺くん」とは、今年ついに将棋界ナンバー1の称号「名人」を手に入れた、渡辺明名人のこと。ちなみに私の一番好きな棋士です! 今年は藤井聡太二冠との棋聖戦が大きな話題となったので(藤井聡太二冠が渡辺名人から棋聖を奪取する快挙となりました)、ニュース番組などを見て「知ってる!」と言う方もいることでしょう。この漫画の通りの見た目で(笑)、藤子不二雄の描く「魔太郎に似ていると言われる」とご本人はおっしゃっています。
作者は渡辺明名人の奥様
作者の伊奈めぐみさんは、渡辺明名人の奥様。ちなみに、ご結婚は渡辺明名人19歳(!)、めぐみさん23歳のときで、できちゃった婚だったとのことです(現在お子さんは一人)。
この作品、もともとはめぐみさんがブログで書いていて、マガジン編集部から声がかかったことがきっかけで漫画化したそうなのですが…美大卒ではあるもののそれまで漫画を描いたことはなかったそうです。『将棋の渡辺くん』で初めて漫画に挑戦したということなので、それでこんなに面白い漫画が描けてしまうなんて本当にすごいです。
ぬいぐるみを抱いて眠る「名人」
『将棋の渡辺くん』は渡辺名人の日常をほのぼのタッチで描いた漫画エッセイ。何といっても渡辺名人のキャラが秀逸!! 笑いどころ満載の作品です。私、実は渡辺名人の対局を見に行ったこともあるんですが、目からビームが出るんじゃないというくらい、鋭く真剣なまなざしで…怖いくらいのオーラなんですよ…。「棋士」って感じで実に格好よくて近寄りがたくて。その渡辺名人が「ぬいぐるみ好き」と聞いたときは、「えっ!?」と耳を疑ったものです。
『将棋の渡辺くん』を読むと、盤上から降りた渡辺名人のちょっと抜けた素の姿、そして大変なぬいぐるみ好きであることが分かります。ぬいぐるみと一緒に寝たり、名前をつけてキャラ設定して話しかけたり! そんな日常が描かれています。
現在5巻まで出ているんですが、藤井聡太二冠との対局の影響で、すごく売れたらしいです。5巻には藤井君も登場しますし…
全巻大人買いして、コロナでなかなか出かけられないこの時期に、家でゆったりまったり読む作品としてもおすすめです★
松本渚『将棋めし』
勝負に勝つための「めし」とは
大好きな漫画だったんですが、実は先日6巻で突然終わってしまい、ものすごく残念です……。まだまだ続けられたと思うのですが!!
主人公は史上初の女性プロ棋士・峠なゆた。長丁場である将棋は、対局の合間に食事時間があるのですが、そこでどのようにエネルギーを補給するか、食事の選び方や内容が勝負の勝敗をも左右するという視点が斬新。将棋界という男社会でライバルたちと奮闘するなゆたの勝負にかける姿勢も格好いい。
リアルでは、まだ誕生していない「女性棋士」
実は、リアルな将棋界では、未だに「女性棋士」って誕生してないんです。「女流」と呼ばれる人たちはいますが、彼女らは「研修会」という将棋連盟の育成機関に入り、B2以上などの一定の成績を獲得した人たち。
それに対し、「女性棋士」になるためには、「奨励会」に入り、半期ごとに行われる三段リーグで上位2人に入って、四段に昇格する必要があります。そして、残念ながら、奨励会を勝ち上がった女性、という存在が未だいないわけなんです。将棋ファンとしては、いつか峠なゆたのような女性プロ棋士が誕生してくれることを心からち望んでいます!!
柴田ヨクサル『ハチワンダイバー』
元奨励会の青年・菅田が「アキバの受け師」と呼ばれる中静そよに導かれて真剣師との戦いを繰り広げていく物語。全35巻。「真剣師」とは、表で活躍するプロ棋士とは違う、賭け将棋をなりわいとする人たち。破天荒なストーリーながら、将棋を指すことの格好良さがこれでもか!と描かれます。私が一番好きなキャラは元最年少女流名人・千鳥チコことチッチ。チッチ~、格好いい! 漫画内では「ババァ」扱いされるチッチですが、どうやらまだ40代。チッチがババァなら、50代の私は死人、もしくはゾンビだよ、と読み直すたびに思います。
羽海野チカ『3月のライオン』
将棋漫画といえば、これを外すことはできないでしょう。今や日本で一番知られている将棋漫画ではないでしょうか。そして、やっぱり実にいい!!
「恋しさと切なさと心強さと~」(by 篠原涼子)、そんな感じです。そもそも将棋漫画というのは、その特性上どうしても、将棋に詳しくないと楽しめないという側面が出てきてしまいます。ところが、『3月のライオン』は、恋しさ=恋愛、切なさ=センチメンタリズム、心強さ=勝負の世界、というさまざまな要素を破綻なく詰め込み、将棋に詳しい人も、分からない人も、誰が読んでもその深さで楽しめる世界観を作り上げました。すごい才能だと思います。未読の人はぜひご一読を。
最後に~将棋観戦のすすめ~
「ABEMA(アベマ)」の将棋チャンネルを見よう
今回はおすすめの将棋漫画を4作紹介しましたが、実際の将棋観戦もおすすめです! ネットの将棋中継が面白いので、見たことがないという方は、インターネット動画配信サービス「ABEMA(アベマ)」の将棋チャンネルをどうぞ!
◆ルールが分からなくてもOK
最近は人工知能(AI)による「評価値」が出るので、棋士が1手打つたびに、その評価値の数値が大きく変わったりしまして…「なんかすごい手が出たらしい!!」と誰でもわかるようになっています。
◆一番のおすすめは将棋ファンの書き込み
「ABEMA(アベマ)」将棋チャンネルの私的・一番のおすすめは、対局と同時進行で流れる将棋ファンたちからの書き込み(ちょい荒れることもあり)。私も好きな棋士が出ているときは応援コメントを入れるわけですが、これらのコメントを読みながら、解説者の解説を聞いて、棋士の一挙手一投足をドキドキしながら見守る、というのがだいご味です。
◆夜になると登場する「風呂勢」
将棋の対局はとにかく時間が長く、朝から夜中まで中継が続くこともあります。どうしても仕事や用事で途中抜けざるを得なかったりするのですが…盛り上がってくる終盤戦あたりから参戦するファンも多いです。そして、夜遅くなってくると現れるのが風呂勢。勝負の合間をついて「このすきに風呂に入る」という書き込みが散見されるようになります。これもまた長丁場の将棋中継来らしい風物詩です!
ABEMAは無料で楽しめますが、14日間のABEMAプレミアム無料体験というのもあるので、このお正月にでも、ぜひマニアックな世界に浸ってみてください。
1月1日には『第3回AbemaTVトーナメント スピンオフ 「所司一門VSレジェンド」』生配信もありますよ! もちろん私は見る予定です。
ABEMAプレミアムにすると、すべての作品が見放題(対象外もあり)、放送中でも最初からみれる、放送後の番組でもコメントが楽しめる、等の特典があるそうです。基本将棋チャンネルしか見ない私も、最初から見れる、後でもコメント楽しめる、はポイント高いなぁと思います。
↓↓
はてなブログの方は、読者登録をお願いします♪