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現役編集者によるおすすめの本や漫画の紹介です。

「株主優待おじさん」桐谷さんの生き方に痺れる! 『桐谷さんの株主優待のススメ』(桐谷広人)

※ 本記事には広告のリンクが含まれます。ご了承ください。

どうも、tamaminaoです。

本日はちょっと珍しく投資関連の本を紹介したいと思います。「投資とか副業とか、そういうの興味ないからいいや」という方もぜひ。

投資を通して生き方を指南する書、として私は読みました。

 

はじめに~私の投資履歴

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ちょっと前置きになるのですが、数年前からSBI証券で積立NISAをやっています。私は「始める」となったら、とことん調べたい性格なので…家の中の本棚一段が「投資」「お金」関係の本で埋まるくらい、さまざまな本を読みました。

始めた今になってみれば、積立投資はとにかく1年でも多く積むことが命なので、1年近くも勉強してからようやく手を出した自分は「時間を無駄にしたなぁ」という思いもあります。

「御託はいいから、走りながら考えろ」とあのときの自分の肩を叩きたいですが、まぁ性格なのでしょうがない。

そんな自分が、今年2022年は株を始めてみようかな、と思い、またしても懲りずに本漁りを始めたわけなんです。

でね、やっぱりね、桐谷さん、なんですよ!!!

 

自転車に乗って株主優待を使いまくる不思議キャラ「桐谷さん」

 

株主優待でもらった食事券やら金券やらを握りしめて、自転車に乗ってどこまでも出かけていく「桐谷さん」。テレビや雑誌で彼の雄姿を見たことのある人は多いはず。そのインパクト強すぎるキャラに、「ああ、あの人!!」と脳裏に焼き付いている方もいることでしょう。

株関係の雑誌やネットでも引っ張りだこで、そういう類の本で桐谷さんを見ないことはない、というくらいですが、この桐谷さん、実は元将棋の棋士なんです!!(知っている方も多いのかな?)

将棋好きの私には、「株主優待おじさん」的側面はもちろんですが、棋士的側面からも非常に気になる存在なわけです。

棋士時代の異名は「コンピューター桐谷」

 

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残念ながら、私は現役時代の桐谷さんを知りません。桐谷さんが棋士を引退したのは2007年で、私が将棋にはまったのはここ10年ほどなもので。

棋風としては、当時としては珍しかった研究派で、過去の膨大な棋譜を記憶し、局面を見ただけで誰と誰のいつの対局かと言えることから「コンピューター桐谷」の異名を持っていたそうです。

現役時代から既に「財テク棋士」として名をはせていたのですが、こんな桐谷さんが勧める株との付き合い方は、

「いい優待がついた株に分散投資する」というもの。

 

リタイア世代におすすめの優待株

株をやるなら、がっつり「値上がり益」を狙っていきたい、「儲ける」ことに焦点を合わせたい、と言う方も多くいることでしょう。

桐谷さんが目的としているのは、上のようなやり方ではなく、今現在自分が持っている「原資」を目減りさせずに、「豊かな生活を送る法」。「リタイア世代にとって、これ以上の方法はないと私は確信しています」と語ります。

 

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オーバー50の自分にはかなりぐっときましたね。

「優待」という部分に焦点を絞っておすすめの銘柄を紹介してくれる、非常に実践的で役立つ本なのですが、私が何より魅力を感じたのは、本書で描かれる桐谷さんの「生き方」と「哲学」!

 

株式投資での痛すぎる失敗

桐谷さんが、「いい優待がついた株に分散投資する」という手法に行き着いたのは、過去に痛い経験をしているから。

私は、プロの将棋棋士として活動していたころから、徐々に株式投資を始めました。私には、もともと勝負師の血が流れているのでしょう。「ほどほどのところでやめる」ということができませんでした。やがて、資産のすべてを株に費やすようになりました。しかも、当時はもっぱら値上がり益を狙っていたのです。

そんな中、2007年のサブプライム問題、2008年のリーマン・ショック等による株価の値下がりが起こり、リスキーな信用取引を行っていた桐谷さんは、毎日200万円、300万円といったお金を支払わねばならない状況になり、夜も寝られず、食事も喉を通らず、糖尿病が悪化して、医者が「生きているのが不思議だ」と驚く状態にまで追い詰められます。

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あまり損失の出ていない株はすべて売ることになり、結果として売っても大してお金にならない株ばかりが手元に残ることになるのですが、その中に優待のつくものが結構あったのだとか! 結果として、その優待で送られてきた米や食品を食べて桐谷さんは生き延びることができたそうです。

このときの経験から、私は優待株(株主優待に力を入れている企業の株)のすばらしさに目覚め、今ではもっぱら優待株専門に投資しています。

「株主優待おじさん」桐谷さんの誕生です!!

 

日々の生活すべてに現金の必要なし!

現在の桐谷さんの家の中は、「企業から送られてきた優待品が、足の踏み場もないほどあちこちに積まれて」おり、財布の中は「優待でもらった食事券や買い物券がぎっしり」。

「日々の生活において現金はほとんど必要としない」域となっており、ものすごいことですね! 「羨ましい」と思う一方、期限までに使わなくちゃいけないなど、「優待に合わせて生活していると、振り回されませんか?」ともよく聞かれるそうで、私もそう思いました!!!

これに対する桐谷さんの姿勢が感銘深いんですよ。

 

「○○の優待は今月末で切れるから、金曜日に行っておこう。池袋に行くんだから、ちょうどいい。駅前でのドトールで優待券を使ってコーヒーでも飲んでこよう」

こうして外出の計画を立てていると、ボケているひまなどありません。

それに私は、優待株をやるようになって世界が何倍にも広がりました。優待の中には、カタログから好きな品を選べるものもあります。そこには、これまでまったく買わなかった分野の品もあり、眺めているだけで興味がそそられます。豪華エステも、優待によってはじめて経験しました。私はたいていいつも一人ですが、夫婦であれば2人一緒に仲良く同室で施術してもらえます。新しい町にも行くようになりました。

(中略)

定年退職すると、とくに男性は一気に世界が狭まります。それまで仕事関係の人とばかり付き合っていたのが、なくなってしまうからです。新しい世界に飛び込み、新しい知人を得たいと思っていても、実際には行動に移せない人が多いのです。

そんな人にこそ、優待株投資はおすすめです。優待株が使える場所に行ってみて、そこで新しい経験をすればいいのですから。

 

受け取る優待券が多く「期限までに使わなくちゃ」というのは、「嫌なことではありません。私にとっては実に楽しい作業」だというのが桐谷さんの見解。株主優待があることで、72歳(!)となる現在も、新しい場所に出かけ、初めての体験をし、日々変化を楽しむことができている、というのが彼の喜びであり哲学なのです。

お金をどう使うか・貯めるかは、人間性そのもの

大量に分散投資するだけの元手を持っているからできること、と言われればそれまでなのですが、結局のところ、投資というのは、その人の生き様であり、哲学なんだな、と桐谷さんの本を読んでしみじみ思ったのです。

私とてお金を儲けたい。というか、猛烈に儲けたい(最低)。しかしですね、その手の本を読みまくっていると、目指せ資産一億、とか、40代で「FIRE」実現、とか色々あるわけですが、「いいね!! で、どうするの?」みたいな気持ちになったりするわけなんです。

桐谷さんの本には、その「で、どうするの?」という後味がなかった。

彼にとっての株式投資は、優待株を使って人生を広げて楽しむ、という「意味」が伴っていたので。

まぁ、そんなわけで、ぜひ皆様にも一つの生き方の指針として読んでみてもらいたい本なのです。

 

 

おまけ~桐谷さんが独身な理由

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余談ですが、桐谷さんは、棋士として活躍していた時代、その魅力に心酔していた米長邦雄永世棋聖(桐谷さんの師匠は升田幸三実力制第四代名人ですが、米長邦雄永世棋聖を尊敬して仕えていました)に婚約者を取られた!!ことがあるそうです。

しかも2回も!! 

私自身は今回このレビューを書くにあたって初めて知ったネタで、「マジで!!??米長ってそんなことするの!?」と私の中では大騒ぎだったのですが、話が長くなってしまうので、最後にちらっとご紹介しておきます。

ちなみに、そのトラウマがあるのか?桐谷さんは現在も独身です。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

 

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