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アイドルという生き方~『アイドル、やめました AKB48のセカンドキャリア』大木亜希子(宝島社)

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どうも、tamaoinaoです。

皆さんの中で、「将来アイドルになりたい」という夢を抱いたことのある方、いらっしゃいますか。私自身は子供時代から中2病を患う思春期に至るまで、未来の選択肢の中に、アイドルという存在が入ってきたことは一度もありませんでした。

今回読んだ『アイドル、やめました。AKB48のセカンドキャリア』大木亜希子(宝島社)という本は、アイドルを目指したものの、「将来が不安」「人気が出ない」「学業と両立できない」等々の理由からアイドル業を引退し、他の職業へと「転職」した元アイドルたちを取材したもの。

面白いのは、著者である大木亜希子さん自身も元アイドルだということ。秋元康プロデュースのSDN48のメンバーとして活動していたものの「一斉に卒業」となり、その後は芸能活動だけで生きていくことは難しく、WEBメディアのライターという職種で就職しました。現在はフリーライターとして活動しており、自身の「元アイドル」と言う経歴を生かして書いたのが、この1冊というわけです。

 

アイドルの敷居が低い時代

この本を読んでまず気づいたのは、1970年生まれの私が生きてきた時代に比べると、「アイドルになる」ということの敷居が著しく低くなっていること。私の小中学生時代は、松田聖子、中森明菜、小泉今日子などなど……キラ星のようなアイドルたちが活躍していた時代。彼らは圧倒的なスター性を誇る「特別」で「手の届かない」存在でした。あまりに遠すぎて、自分が「アイドルになれる」などとは考えもしませんでした。これが変わってきたのは、多分おニャん子クラブなどのあたりからなのでしょうね。

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顔がよくても人気が出るわけじゃない 

こちらの本では、序文で大木亜希子さん自身がアイドルを辞めてセカンドキャリアを得るまでを語り、その後の章で、別な職業へ転職した元アイドルたち8人が登場します。彼女たちが口をそろえていう印象的だった内容は、顔がいい、歌がうまい、ダンスが上手、だからといって人気が出るわけではないということ。また、上手すぎたりプロっぽかったりすることも、初々しさがなくなりプラスにはならないようです。

 

また、アイドルという職業は、ビジュアルや体型、ステージ上のセンス、華やかさ、どれか1つでも秀でていたら必ず売れるーといった確証など“ない”ことにも気がついていた。正直言えば、「私のほうが可愛い」と思うようなメンバーに人気を追い越される瞬間も多々あった。

「あいつより うまいはずだが なぜ売れぬ」

とは、往年の大女優、故・森光子さんが不遇の時代に作ったとされる1句だが、

「あいつより 可愛いはずだが なぜ売れぬ」

そんな気持ちが私の中に溜まり、病んでしまう瞬間も常々あった。

握手会では私目当てに来てくれるファンが極端に少ないレーンの隣で、ほかのメンバーが大盛況という状況でも平然としていなければならない。

(「序文 アイドルからライターへ」より)

 

 

念願の活動ができるようになりホッとしたのも束の間、彼女は衝撃を受ける。レッスンが始まると、自分よりもまったく踊れない子やトークが未熟な子が、続々といいポジションに配置される事態が頻発したのだ。

(中略)

この世界が、技術だけで評価されるわけではないことがわかった。しかし、それならば「選ばれるための最短ルート」はどこにあるのだろう。彼女は“選ばれし子たち”を必死で観察した。すると、たとえ垢抜けなくてもカリスマ性がある子や、ダンスが苦手でもファンから人気を得ている子が中心的な位置にいくことがわかった。

ああ。それならばいっそ、自分も子役経験などない「普通の子」ならばよかったのに。過去の経歴を呪う日々が、続いた。

(「元AKB48/SKE48 佐藤すみれ クリエイター」より)

 

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キャリアを積むことと初々しさは両立しない

恐ろしいシステムだなというのが私の正直な感想です。彼女らの発言を読むと、キャリアを積んで長けていくことは特にプラスにならない。努力して身に着けてきたことが逆にマイナスに作用することもある。

以前テレビで、K-POPアイドルの特集を見たのですが、彼女たちは、それこそ血のにじむような努力と頑張りで歌やダンスのレベルアップを図っていました。それに対して、技術は特に必要なく、「初々しさ」「普通っぽさ」「人気(モテ?)」などが高く評価されるらしいジャパニーズアイドル。よくも悪くも日本的な女性観や価値観が詰め込まれているのでしょうね。

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ただ、このシステムに正面から取り組む女子たちはとてもつらい。この本に出てくる8名は、アイドル時代、必死にまじめに上を目指そう、と努力します。しかし、努力すればトークも歌も踊りも成長するのでしょうが、「初々しさ」や「普通っぽさ」はよりなくなっていくわけで…ものすごいアンビバレンツな状態。一体どこに向かって何を頑張ればいいのか。心がつらかった、と告白する元アイドルも多かったですが、それはそうだろうな、って思いました。

 

アイドルが一般の職業にセカンドキャリアを求める時代

常により未熟で若い存在を求めて入れ替わっていくアイドルグループ。つまりアイドルという職業は一時のあだ花。彼女たちは必ずやセカンドキャリアを求めていくしかないのです。女優など芸能界でセカンドキャリアを得ていけるのか。それとも一般の職業で探すかだけの違い。

この本を読んで、次のステージを一般の仕事に求めるアイドルが増えてきたのかなって感じました。アイドル経験のある女性の総人口は今や1万人とも言われているそうです。アイドルと一般人を行き来する障壁も低くなってきているのでしょう。色々と考えさせられる1冊でした。

 

おすすめのアイドル漫画 

さて、思うことをつらつら書いてきましたが、私はアイドルにはまったく詳しくありません。あくまでも本を読んでの個人的な感想になりますのでアイドルに一家言のある方どうぞお赦しください。

そんな私ですが、最近、自分的にはアイドルものに凝っております。

アイドルをテーマにした下記の2冊は超絶おすすめです!

『押しの子』赤坂アカ✖横槍メンゴ(集英社)

『さよならミニスカート』牧野あおい(集英社)

特に『さよならミニスカート』は、『りぼん』の編集長が、「このまんがに、無関心な女子はいても、無関係な女子はいない」という言葉を寄せたことでも話題になりました。傑作です。興味のある方は是非読んでみてください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

 

 

 

 

 

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