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ホラー漫画界の鬼才、伊藤潤二の『人間失格』がすごすぎる!

 どうも、tamainaoです。

昨日の記事にも書きましたが、体調の悪い毎日が続いています。

 

tamaminao.info

 

特に週末は横になることが多いのですが…それはイコール本漬けの日々。なかなかブログへのアップができない状況ですが、今日は「これはすごい!!!」と感嘆の声が出た漫画を紹介します。

 

伊藤潤二『人間失格』

 

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太宰治の『人間失格』を漫画化

ホラー漫画家である伊藤潤二が手掛けた『人間失格』は、太宰治の文学作品『人間失格』が原作。日本文学史に燦然と輝く名作で、思春期の頃にハマった、という方も多いのではないでしょうか。

2019年には太宰治生誕110周年を迎え、蜷川実花監督による実写映画「人間失格 太宰治と3人の女たち」が話題になったりもしましたね。

 

人間失格 太宰治と3人の女たち

人間失格 太宰治と3人の女たち

  • 発売日: 2020/04/02
  • メディア: Prime Video
 

 

そもそも『人間失格』はホラーだと思うんです

「鬼才」の呼び声高い伊藤潤二が、太宰の『人間失格』を漫画化すると聞いたときは、一体、どんなすごい世界観になるの!?と私の期待値はだだあがりでした。

そもそも、私の中では、太宰の『人間失格』はホラー小説という位置づけ。初めて読んだのは中学生の頃で、他者への意識が過敏になる思春期特有の感覚もあり、主人公・葉蔵(ようぞう)の「道化」に大きなシンパシーを感じたのですが…、同時に強烈に感じたのが、「何てヤバいホラー小説だろう」という感覚でした。

 

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こんな血とか出てくるわけじゃないですが、精神的ホラー!

だって、怖くないです? あの話!!! 私は結構トラウマになりましたよ。

なので、伊藤潤二が漫画化する、と聞いたときは、「来た!最高のタッグ!!」という思いでした。

 

人間失格(1) (ビッグコミックス)

人間失格(1) (ビッグコミックス)

 

 

うずまき (ビッグコミックススペシャル)

うずまき (ビッグコミックススペシャル)

  • 作者:伊藤 潤二
  • 発売日: 2010/08/30
  • メディア: コミック
 

 

各エピソードが小説よりさらに陰惨に

伊藤潤二の『人間失格』は、基本的には小説の流れに沿いながら、小説よりも、さらに陰惨に展開していきます。

主人公の葉蔵は、自身と関わった同級生や女性たちを、小説版よりもさらに多く死や絶望へと向かわせ、葉蔵本人が感じる地獄の業火のような苦しみの描き方も、これがもう、とんでもなく凄まじい。漫画という絵画表現だからこそできうる、文字で表せないあの凄み!!!

ここに貼り付けられないのがもどかしい。

ぜひとも手に取って読んでもらいたいです。

 

 

 太宰治『人間失格』を読み直すなら集英社文庫(個人的な指向です)

人間失格 (集英社文庫)

人間失格 (集英社文庫)

  • 作者:太宰 治
  • 発売日: 1990/11/20
  • メディア: 文庫
 

 

伊藤潤二の『人間失格』 を読んだら、おすすめは再度太宰治の小説に戻ってみること。そもそも、「どこがどんな風に違っていたっけ?」と気になるので、戻りたくなるんです。私はそうでした。購入するなら、個人的には上記集英社版がおすすめ。私は息子にもこちらを購入しました。

 

理由は明瞭!

『DEATH NOTE デスノート』の小畑健の表紙だからです!(爆)

少し前から、文学作品に漫画家が表紙をつけるのが流行っていますよね。

『人間失格』に小畑健のイラスト夜神月(やがみ らいと)を彷彿とさせることを狙っているに決まってますよね

 

これを見たときは、うんうん、ライトは、まさに「人間失格」だよね!! と大きく頷きました。

さらに言うなら、『人間失格』と『DEATH NOTE デスノート』の両者があわせ持つ、そこはかとなく漂う中二病感!!!

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PhotoACで「中二病」で検索したら出てきた画像W

その共通項も感じられ、編集者のチョイスがとってもナイス!な1冊だと思うんです。

 あっ。私は『DEATH NOTE デスノート』も大好きです。

 

 

太宰の娘・ 太田治子さんによる後書きも必読

集英社文庫版『人間失格』には、太宰治の娘である作家・太田治子さんの「鑑賞-父親というもの」という一文も掲載されているのですが、50代になった今、こちらも心に沁みました。

太宰治の娘と言えば、作家の津島佑子さんが有名ですが、津島さんはいわゆる本妻の子供。

 

悲しみについて(津島佑子コレクション)

悲しみについて(津島佑子コレクション)

  • 作者:津島 佑子
  • 発売日: 2017/06/30
  • メディア: 単行本
 

 

太田治子さんは、不倫相手との間に生まれた子供になります。彼女の母にあたる静子は、太宰の代表作『斜陽』の主人公のモデルになった人物。治子さん自身は、父である太宰のことを写真でしか知らないそうです…。

 

斜陽

斜陽

  • 作者:太宰 治
  • 発売日: 2012/09/28
  • メディア: Kindle版
 

 

明るい方へ 父・太宰治と母・太田静子 (朝日文庫)

明るい方へ 父・太宰治と母・太田静子 (朝日文庫)

  • 作者:太田 治子
  • 発売日: 2012/12/04
  • メディア: Kindle版
 

 

顔も知らない父親の描いた『人間失格』という小説。

彼女は、そこに「大げさな強がり」「メンツにこだわるまことに古風な日本男児」を感じていて、「娘」という立ち位置から太宰特有のナルシシズムをいい感じに指摘!!

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もし本人が生きていて、実の娘からこんな指摘をされたら、顔を真っ赤にするしかないね、と思われますが…それが会ったことすらない父へのメッセージだと考えると、色々考えさせられます。彼女が『人間失格』の中に父性を見つけるくだりも心が痛くなります。

本編とあわせて太田治子さんの後書きもぜひおすすめです!

 

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