どうも、tamainaoです。
昨日の記事にも書きましたが、体調の悪い毎日が続いています。
特に週末は横になることが多いのですが…それはイコール本漬けの日々。なかなかブログへのアップができない状況ですが、今日は「これはすごい!!!」と感嘆の声が出た漫画を紹介します。
伊藤潤二『人間失格』
太宰治の『人間失格』を漫画化
ホラー漫画家である伊藤潤二が手掛けた『人間失格』は、太宰治の文学作品『人間失格』が原作。日本文学史に燦然と輝く名作で、思春期の頃にハマった、という方も多いのではないでしょうか。
2019年には太宰治生誕110周年を迎え、蜷川実花監督による実写映画「人間失格 太宰治と3人の女たち」が話題になったりもしましたね。
そもそも『人間失格』はホラーだと思うんです
「鬼才」の呼び声高い伊藤潤二が、太宰の『人間失格』を漫画化すると聞いたときは、一体、どんなすごい世界観になるの!?と私の期待値はだだあがりでした。
そもそも、私の中では、太宰の『人間失格』はホラー小説という位置づけ。初めて読んだのは中学生の頃で、他者への意識が過敏になる思春期特有の感覚もあり、主人公・葉蔵(ようぞう)の「道化」に大きなシンパシーを感じたのですが…、同時に強烈に感じたのが、「何てヤバいホラー小説だろう」という感覚でした。
だって、怖くないです? あの話!!! 私は結構トラウマになりましたよ。
なので、伊藤潤二が漫画化する、と聞いたときは、「来た!最高のタッグ!!」という思いでした。
各エピソードが小説よりさらに陰惨に
伊藤潤二の『人間失格』は、基本的には小説の流れに沿いながら、小説よりも、さらに陰惨に展開していきます。
主人公の葉蔵は、自身と関わった同級生や女性たちを、小説版よりもさらに多く死や絶望へと向かわせ、葉蔵本人が感じる地獄の業火のような苦しみの描き方も、これがもう、とんでもなく凄まじい。漫画という絵画表現だからこそできうる、文字で表せないあの凄み!!!
ここに貼り付けられないのがもどかしい。
ぜひとも手に取って読んでもらいたいです。
太宰治『人間失格』を読み直すなら集英社文庫(個人的な指向です)
伊藤潤二の『人間失格』 を読んだら、おすすめは再度太宰治の小説に戻ってみること。そもそも、「どこがどんな風に違っていたっけ?」と気になるので、戻りたくなるんです。私はそうでした。購入するなら、個人的には上記集英社版がおすすめ。私は息子にもこちらを購入しました。
理由は明瞭!
『DEATH NOTE デスノート』の小畑健の表紙だからです!(爆)
少し前から、文学作品に漫画家が表紙をつけるのが流行っていますよね。
『人間失格』に小畑健のイラスト。夜神月(やがみ らいと)を彷彿とさせることを狙っているに決まってますよね。
これを見たときは、うんうん、ライトは、まさに「人間失格」だよね!! と大きく頷きました。
さらに言うなら、『人間失格』と『DEATH NOTE デスノート』の両者があわせ持つ、そこはかとなく漂う中二病感!!!
その共通項も感じられ、編集者のチョイスがとってもナイス!な1冊だと思うんです。
あっ。私は『DEATH NOTE デスノート』も大好きです。
太宰の娘・ 太田治子さんによる後書きも必読
集英社文庫版『人間失格』には、太宰治の娘である作家・太田治子さんの「鑑賞-父親というもの」という一文も掲載されているのですが、50代になった今、こちらも心に沁みました。
太宰治の娘と言えば、作家の津島佑子さんが有名ですが、津島さんはいわゆる本妻の子供。
太田治子さんは、不倫相手との間に生まれた子供になります。彼女の母にあたる静子は、太宰の代表作『斜陽』の主人公のモデルになった人物。治子さん自身は、父である太宰のことを写真でしか知らないそうです…。
顔も知らない父親の描いた『人間失格』という小説。
彼女は、そこに「大げさな強がり」「メンツにこだわるまことに古風な日本男児」を感じていて、「娘」という立ち位置から太宰特有のナルシシズムをいい感じに指摘!!
もし本人が生きていて、実の娘からこんな指摘をされたら、顔を真っ赤にするしかないね、と思われますが…それが会ったことすらない父へのメッセージだと考えると、色々考えさせられます。彼女が『人間失格』の中に父性を見つけるくだりも心が痛くなります。
本編とあわせて太田治子さんの後書きもぜひおすすめです!
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