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現役編集者によるおすすめの本や漫画の紹介です。

図書館がもっと好きになる! 『希望の図書館』(リサ・クライン・ランサム)を読む

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どうも、tamaminaoです。

昔から図書館が大好きです。

広々とした空間に整然と並ぶ書棚。その書棚にずらりと背を向けて、中身を隠しているのに、実は手に取られるのを待っている本たち。何てツンデレ……。うっとりと眺めながら「今日借りる本」を探します。

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借りる点数に制限があるところがまたいいんです。こんなに大量の本の中から10冊ですよ?(うちの近隣は1枚のカードで10冊までです) 

もう、どうする? 今日はどれにする!? 

毎回そんな心のもだえを抱えながら、1冊抜いては眺め、戻し、場所を変えてはまた1冊抜いて戻し。

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分からない人から見たらHENTAIのようかも知れないですが、捜し歩く時間もまた至福。10冊選びぬくのに1時間とか2時間とかかけちゃいます。ええ、合コン行って(もう長らく行ってないですが(-_-;)←遠い目)男子を探すより、楽しいです。 

で、10人、10冊選び抜いたら、ここから本番です。

 

図書館のカフェで本を読む

私が通うお気に入りの図書館には、カフェが併設されており、そこでコーヒーを読みながら、本日の戦利品を読みふけることがクライマックスです。

 

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このカフェ、あくまでも図書館の一部なので、何時間居座って本を読もうとOKなんです。何なら、カフェのメニューを頼まずに自販機でジュース買って飲んでてもOK。

私はプチ贅沢として、毎回カフェのコーヒーを頼んでいます(ときには軽食も)。だって、300円で自家焙煎コーヒーが飲めるんです。ケーキセット(コーヒー付き)だって500円。しかも主役の本は無料! 最高です、最高。

 

図書館好きにはぜひ読んでほしい1冊

そんなわけで、本日土曜日も図書館へ出動。そして、本日カフェで読みふけった1冊は『希望の図書館』リサ・クライン・ランサム/松浦直美訳(ポプラ社)。そう、図書館がテーマの小説です。

 

『希望の図書館』リサ・クライン・ランサム作/松浦直美訳(ポプラ社)は1940年前後のアメリカが舞台。まだまだ黒人への差別が激しかった時代を生きた少年、ラングストンが主人公。大好きだった母親がなくなり、ド田舎だった南部のアラバマから、大都会シカゴへと父親と二人で引っ越しをしてきます。

シカゴに来た二人は、「ブラック・ゲットー」(黒人貧民街)、「ブラック・ベルト」(黒人地帯)とよばれる地域にある、せまっくるしく不潔なアパートの1室で暮らすことになります。しかも学校では「南部のいなかもん」とからかわれ、一部のクラスメートからはいじめにあいます。

そんな彼を救ったのは、図書館の存在でした。

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この時代、驚くべきことですが、図書館は白人専用の施設で、黒人は利用できないことがほとんどでした。しかし、シカゴには、黒人が使える図書館が存在し、ラングストンは道に迷った際に偶然その図書館に出会い、足を踏み入れます。

ここでのラングストンによる描写がすごく素敵なんです。噂には聞いたことがあったけれど、初めて足を踏み入れた場所、大好きな本が並ぶ空間にラングストンは感動を覚えます。 

 

図書館の空気を吸い込むと、古い紙や糊のにおいと、木のにおいがした。母さんがよく作ってくれた、ピーチパイよりいいにおいだ。ここにある何もかもが新しくみえ、ぼくのくたびれたくつが、もっとくたびれてみえた。

(中略)

静けさをみださないように、ぼくはそっと階段をおり、さっきよりも小さな部屋に入った。円形のテーブルがいくつもあり、背の低い本棚が並んでいる。ぼくは本棚に近づいてすうっとなで、帰り道をきくことなんてすっかり忘れていた。

 

金銭的に余裕のない生活を送り、周囲の人間にも恵まれず(そう思い込み)、つらく厳しい日々を送っていたラングストンは、図書館で出会った詩の本に魅せられ、大きな心の支えを得ていきます。

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数多の言葉の集積所

図書館って言うなれば、先人たちが書き残した数多の言葉の集積所。普通に生きていたら会えない人たち、もう亡くなっている人たちと数限りなく邂逅できる稀有な場所だと思うんです。しかも彼らは、「おれ(私)の言葉に礼(お金)なんていらねぇよ」って太っ腹なんです。

お金に余裕がある人もない人も、つらいとき、悲しい時、嬉しい時、その気持ちに共感して寄り添ってくれる誰か(言葉)に出会える。図書館ってそういう場所だと私は思っています。

そして、『希望の図書館』は、図書館でそんな「誰か」に出会うことができた少年の物語なのです。児童・ヤングアダルト向けの小説なので、深い内容にも関わらずさらりと読めるところもよいです。

 

おすすめの図書館小説

図書館にまつわる小説は他にも色々素晴らしいものがありますが、最近では次の1冊もおすすめ!! 

 

日本国内で出版されたすべての出版物を収集・保存する唯一の図書館、国立国会図書館の生い立ちからの物語です。実は、私は一時期国立国会図書館に通い詰めていたことがあり、思い出の場所としても楽しんで読めました。本好き、図書館好きの方はぜひこちらもご一読を。

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どちらの2冊も、図書館で読んでいただくと、さらに気分が盛り上がること間違いなし! ぜひお試しください。

 

ちなみに、昔、司書の仕事をしていたこともあります。ご興味のある方は下記もご一読ください。

 

tamaminao.info

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

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