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ショートショートの可能性は無限大!『余命3000文字』(村崎羯諦)の魅力

どうも、tamaminaoです。

昔から、短編小説(いわゆる「ショートショート」)が大好きです。古くは小松左京や星新一。またショートショートと読んでよいのか微妙ですが、川端康成の『掌の小説』なんかも好みでした。

  

ショートショートの定義とは 

そもそも「ショートショート」の明確な定義ってあるのでしょうか。

ググってみたのですが、「小説の中でも特に短い作品」「短くて不思議な小説」くらいのくくりのよう。ショートショートをうたう文学賞などでは、400字詰め原稿用紙5枚程度、もしくは15~20枚程度といったあたりが多いようですね。

最近のショートショート作家としては田丸雅智さんが有名で、「坊っちゃん文学賞」の審査員長をされていたり、ショートショートの書き方講座などでもしょっちゅう名前をお見掛けします。

また、いわゆる「意味こわ」と言われるショートショートスタイルも中高生に人気ですよね。短くさくっと読める物語、というのは、スマホやネットで読むにもちょうどよく、若者たちのライフスタイルにも合うのだと思います。

 

『余命3000文字』が素晴らしい!!

さて、そんなわけで、ショートショートは玉石混交あふれている昨今なのですが、「これはすごい!!」という作品集に出会いましたので、ご紹介します。

村崎羯諦(むらさきぎゃてい)さんの『余命3000文字』(小学館文庫)。

 

 

小説投稿サイト「小説家になろう」発。年間純文学ランキング第一位獲得作品の書籍化だそうです。

これ、ほんと、ものすごく面白かったです!! 玉石混交のまさに宝石!!! 短い作品ばかりなので、どうしても一部ネタバレ含んでしまうのですが💦ご紹介します。

 

「何だかんだ銀座」と「大誤算」

『余命3000文字』には全部で26編のお話が収録されており、たまらなく好きな作品が色々あったのですが…特に紹介したいのは

「何だかんだ銀座」

「大誤算」

 

「何だかんだ銀座」

これね、すごい発想ですよ。虫取りならぬ、「お金持ち」取りの話。

お父さんと「僕」は、銀座ブランドにつられて集まってくる「野生のお金持ち」を捕りに、銀座の公園に行きます。公園の木に、一瓶二千円もする「銀座のはちみつ」を塗って「お金持ち」をおびきよせ、虫取り網で捕まえます。

「僕」が捕まえたのは、「アルマーニのチェック柄のジャケットを羽織り、左手にはカルティエの腕時計をはめている。まさにお金持ち図鑑に載っているような典型的なお金持ち」

そして、その日から、大切なペットになった「お金持ち」と「僕」とのハートウォーミング?な日々が始まります……

銀座で「お金持ち」を捕まえてくるんですよ? 何じゃそりゃ、って世界観!! これにはやられました。「お金持ち」の飼い方もまた面白いです(^▽^;) 

 

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「大誤算」

こちらは、完全な遺産目当てで、莫大な富を持つ85歳の柳田孝雄と結婚した女性、真帆の話。柳田は性欲も食欲も旺盛な面倒な相手で、しかも前妻との間にできた子どもとのいざこざまである! しかし真帆は、将来手にする富を考えれば耐えきる自信がある、と考えます。

「忍耐強さと強靭な精神力を持つ者だけが、富を得ることができる」

そして、さぁ、柳田はいつ死ぬか死ぬかと思いながら結婚生活を続けるわけですが……この柳田が、なかなか死なないんです!!

まさかのギネス世界記録になるほど、いつまでも長生きする夫……真帆の計画は「大誤算」になるわけですが……さぁ、主人公の女性はラスト、どうなるでしょう。

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発想の奇抜さ+文学的な情感

ショートショートという分野は、長編小説とはまた別な才能が必要だと感じるのですが、村崎羯諦のセンスはすごい。発想の奇抜さ+文学的な情感。短いストーリーの中から、さまざまな感情が立ち上り、読む側の心を魅了します。

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 小説投稿サイトの中から、このような文学チックな作品が人気になり、書籍化されたことにも未来を感じます。2作目にもぜひ期待!

 1話5分程度でさくさく読めますが、読後感はとても深いです。きっとお気に入りの1作が見つかります★ ぜひ、読んでみてください。

 

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