どうも、tamaminaoです。
昨日今日は読書三昧でした。前から読んでいたノンフィクションを読み終わり、さらに小説2冊が読めて大満足(;^_^A 今日は、特にめちゃめちゃ私好みだった、辻村深月さんの『オーダーメイド殺人クラブ』(集英社)をご紹介したいと思います。
人の死に惹かれる主人公アン
主人公はバスケ部に所属し、クラスの上位グループにいる中学2年生の小林アン。母譲りの容姿で男子からモテ、女子から大人気のイケメン男子とつきあっていたこともあります。校内ではいわゆる「リア充」と認識されていますが、実は母親の存在や学校での人間関係にいら立ちと絶望感を感じています。
そんな彼女には、自殺や殺人など人の死に関することにたまらなく魅力を感じる、という秘密がありました。日々新聞から同年代の殺人や自殺の記事を切り取り、机の引き出しに大切に収集しています。
ある日、同じクラスの徳川勝利という男子が、河原で何かの入っている袋を蹴りまくっているところを目撃します。袋からは赤黒いどろっとした液体があふれていました。「昆虫系」というあだ名をつけて馬鹿にしていたクラスの地味グループに所属する徳川。再度川原で出会った際に聞いたところ、袋の中身は「ネズミ」だと徳川は答えます。
「徳川勝利は、トンボをちぎって殺せるヤツだ」と確信したアンは、「私を殺して」と徳川に頼むのですが…
日本の中学校はとても過酷
思うに、日本の中学校ってなかなかに過酷な場所だと思うんです。
性格や相性は関係なく、ただ同じ年齢というだけで一カ所に集まられ、数年に渡って一緒に過ごすことを強要されるなんて! 気の合う人間が一人もいない、イヤな目にあわされる、などがあっても、基本的には「卒業」するまで離れることも逃げることもできません。しかも、勉強ができる・できない、スポーツができる・できない、見た目がよい・悪い、モテるモテない、等で互いにマウンティングを取り合いながら、その相手と「友人」たることも求められます。
会社を辞める自由も、合わない相手と距離を置く自由も手に入れた今。大人になるまで生き延びられて、本当によかったと感じてしまいます。
虫同士に殺し合いをさせる呪い「蠱毒(こどく)」
私の大好きな「鬼灯の冷徹」という漫画に、蠱毒(こどく)というおっそろしい呪いの話が出てきます。
クモ、ムカデ、サソリなどの虫を大量に捕まえてきて壺に閉じ込めます。すると虫同士は生存をかけて殺し合いになるわけですが、最後に生き残った一匹を壺から取り出して呪いにつかう、というものです。
これって、一カ所に動物をたくさん押して込めておくと毒を招く、という比喩でもあるようです。極端ではありますが、私はこのエピソードを読んだとき、日本の義務教育、特に中学校を思い浮かべました…。自分のウン十年前を思い出したとき、あの閉塞感は、狭い壺の中に閉じ込められて生存競争をさせられる、という状況から来ていたんだなぁ…と、何だか妙に腑に落ちたのです。
ラストも最高!!
「オーダーメイド殺人クラブ」では、中学校という過酷な空間+家庭での問題も抱えながら生きるアンや徳川の苦しさが、余すところなく描かれます。
見た目や運動神経で序列が決まり、ちょっとした発言が無視や仲間外れにつながる息苦しさ。実際に外された主人公・アンが、毎日の学校生活で精神をすり減らしていく様子は、読んでいるだけで胃が痛くなりました。
そこから逃れるように、徳川に殺されて世間から「特別」になることを夢想するアン。徳川とともに計画をたてていくのですが…
ネタバレにならないようにこれ以上は書きませんが、ラストがまたとてもよかった!!!
『オーダーメイド殺人クラブ』はアンの目線での物語ですが、もう一人の登場人物徳川目線で語られたら、また違う景色になったんだろうな、と思わせられました。
この言い方が正しいかどうかは分かりませんが、いわゆる「中2病」小説の傑作!!!
渋澤龍彦や球体人形、「羊たちの沈黙」など、元サブカル少女( ´艸`)だった私には懐かしいモチーフもいっぱい出てきます。
コーヒーがぶ飲みしたせいもあるのですが、私は昨日夜中の3時まで読みふけりました。夢中で読める1冊を求めている方にぜひ。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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