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ブログが検閲されたらどうする? 桐野夏生『日没』を読む 

 年末年始が明けて数日仕事をしたと思ったら、また三連休。嬉しいような、ペースが乱されるような。また月曜の夜には憂鬱を感じてしまいそうです。

 

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東京ではついに緊急事態宣言……。

東京に住む弟に連絡を取ると、「とりあえず在宅勤務をしている」ということでしたが、仕事部屋がなく、小学生の姪(弟から見ると娘)の部屋を借りて仕事をしているそうです。当然姪にはめちゃ嫌がられ、「早く出勤してほしい」と言われるそう…お父さん、つらい…

 

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仕事空間とプライベート空間が一緒というのは、気持ち的にきついこともありますよね…

コロナ禍で在宅勤務が必要になったものの、環境はさまざまなので(変えるのは金銭的な負担も大きい!)、在宅勤務は出来る人、できない人、いますよね…。

 地方都市にあるうちの会社も、関東との往来は基本禁止、どうしても行く場合は申告の上帰宅後にPCR検査を受けること、その後は10日間の自宅待機を義務付ける、というお達しが出ました。

 

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のどが塞がれるような、嫌な閉塞感をずっと感じる今日この頃…。年末年始くらい、ぱっと気持ちが晴れるような本を読んだかというと、さらに息がつまるような小説に手を出してしまいました。自分のマゾ資質を感じます。

 

本日のおすすめ本~桐野夏生『日没』

『日没』のあらすじ

日没

日没

  • 作者:桐野 夏生
  • 発売日: 2020/09/30
  • メディア: 単行本
 

 

エンタメ作家のマッツ夢井のもとに、ある日届いた「文化文芸倫理向上委員会(ブンリン)」からの「召喚状」。事情が呑み込めないまま、大したことではないだろうと予想し出頭先へと向かうマッツ。ところが、駅前に迎えに来ていたブンリンの西森が運転する車に乗せられ、断崖に建つ海辺の療養所にそのまま収容されてしまいます。「更生と矯正のための入院」だと主張され、「社会に適応した小説」を書けと命じられる日々。「B98」と番号で呼ばれ、反抗すると「減点」されて収容期間が延びる、という異常かつ過酷な環境下の中、マッツは「更生」を受け入れるのか、それともー。

 

現実と地続きだから怖い

最後まで一気読み必至の面白さです。そして非常に「嫌な感じ」に怖い…。何故「嫌な感じ」なのかと言うと、ヘイトスピーチ法が成立した日本で、小説の内容もチェックされるようになるという『日没』の設定が、決してリアルな現代とかけ離れたものではないからだと思います。

 

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例えば、菅政権下で、知らぬ間に、私たちの書くブログが検閲される状況になったとします。そして、私が過去に書いた「グーグルアナルティクス」(下記リンクを御覧ください)の記事に対し

「下品かつ煽情的」

「変態オバサン」

「アナルへの興味を掻き立て、犯罪を助長する内容」

「グーグル神を貶めている」

等の読者からの告発があったとしますよ。

 

tamaminao.info

 

すると、私のもとに来るわけです、「召喚状」が!! 「行って説明すれば分かってもらえる」と判断し出頭すると……行ったら最後、「療養所」に閉じ込められるわけです。

ブログを書いている方々は、ふと「あら…なら、私のあの記事もやばいかしら?」みたいな気持ちになりませんか? 

 

表現の自由の難しさ

どこまで「表現の自由」が許されるかは、ネットが台頭してきてからは、非常に難しい問題になったと感じます。昔ネットの書き込みは「便所の落書き」などと揶揄されましたが、今やネットの投稿は社会的なムーブメントに発展する力を持ち、「指殺人」という言い方で表現される通り、個人の社会的評判はもちろん本当の生命までひねりつぶす圧倒的な圧力と影響力を持っています。

 

取り締まっていく部分と、自由に放任する部分と。そのバランスは非常に難しいなと思います。突然の炎上等で、あったこともない人々の負のエネルギーで押しつぶされることは言葉では表現できない恐怖だと思うし、その一方で、『日没』のように、国家権力によって突如人権から何から奪い取られ非人間的な扱いを受けることになるのも、背筋が凍り付くほどのホラー。どっちもどっち。

 

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SNS等での炎上を保証する「炎上保険」というサービスもあるらしいです

非常に色々なことを考えさせられる1冊です。

3連休は明日1日となりましたが、エンタメ性が高く夢中で読める『日没』を、最後の休みの日にいかがでしょう。

 

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