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朝井リョウ『何様』から学ぶ、調整力=仕事力

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どうも、tamaminaoです。

先日朝井リョウさんの小説『何者』(新潮社)の感想を書きました。大学生の就活をテーマにした小説で非常に面白かったので、早速、続編の『何様』(新潮社)も読んでみることに。今日はそちらの感想を書いてみたいと思います。

 

tamaminao.info

 

 

 

 

オムニバス小説『何様』

『何様』は6つの短編からなるオムニバス小説で、『何者』の登場人物たちの前日談、後日談が描かれています。

様々な登場人物が登場し、テーマも短編ごとに違うので、本一冊としては少しまとまらない印象も受けますが、ラストの表題作「何様」が非常に心に残りました。

 

「人を選ぶ側」の葛藤

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短編「何様」の主人公は松居克弘という新入社員です。『何者』の中で、主人公の二宮拓人と一緒に集団面接を受けていた一人。拓人はその面接に落ち、克弘は無事合格して入社に至っています。彼が入社したのは設立17年のまだ新しいIT企業。

体育会系の克洋は、自身は営業関連の部署へ行くものと思っていましたが、配属されたのは意外にも人事部でした。

「人を選ぶ側になるんだ。この自分が、ついこの間まで選ばれる側にいた自分がー」「もともと面接をするような人間でもないのに、学生を合格、不合格って判断していくことに、何も感じないんですか?」などの疑問や葛藤を抱えながら、日々仕事を行っています。

 

「仕事ができる能力」とは「調整力」!

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この短編の中に、「仕事ができる能力」という話が出てきます。

就活生の頃は自分も、例えば語学力やプレゼン能力のような、たった一言で伝わるわかりやすい能力を駆使しているのが社会人だと思っていた。だが目に見えるわかりやすい能力を発揮する場なんて、社会人生活の中ではほんの一瞬しかない。

「仕事ができる能力」とは、いわゆる語学力やプレゼンのような「わかりやすい能力」ではないとし、同じ部の先輩、君島を例に、克洋は次のように分析します。

君島には、誰かと誰かの間に入って物事を調整する能力がある。他部署から面接官を調達し、面接のために会議室を多く使用することを許してもらう力。しかもほんの1ミリの優勢を保ったまま、その調整を行う力。組織の1番上か、一番下でない限り、仕事とは、立場の違う人と人の間に存在する。その中で、あらゆることを、どちらの気分も害さないように調整できる能力ーそれこそが仕事ができる能力なのではないだろうか。

つまり、「仕事ができる」とは「物事を調整する能力」に長けていること。しかも、自分が優勢を保ったままで。

 

評価は調整能力の高い者に集まる

最近仕事についていろいろ考えていた自分にとっては、この一節が、非常にすとん、と腑に落ちました。ほんと、その通りだな、と。

私が昔いた会社に、この「調整能力」が非常に高い女性がいました。例えば、ある企画に部署を超えた4名の人員が必要だとなると、各部署の長に感じよく・自身の優勢は保ったまま話を通し、その上で本人には「あなたの能力が必要」などどおだててその気にさせ、滞りなく4名を集めてきます。

彼女には、実際の企画実行能力が欠けていましたが、代わりに成果をあげる4名を集めてくるため、実際に動いているのはその4名でも、評価は彼女に集まり、順調に出世していました。

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社内に係わりたくない・係われない人を作ってしまう

翻って自分を振り返ると、決して調整者にはなれず、4名の中の1人になるタイプかなと思います。企画を実行・遂行する能力はそれなりにある方かと思いますが、「調整能力」、人と渡り合う力が、がくっと低い自覚があります。

誰しも社内に「苦手な人」「関わりたくない人」がいるものだと思いますが…私は、そういう相手との軋轢で仕事を滞らせるタイプです。その相手が経理だった場合、肝心のお金を引き出す部分でもめ、物品担当だった場合、物品の貸し借りでもめる。言うなれば、人間関係のきしみで、出発前の駅で止まってしまうような状態を繰り返します。

「何てくだらない」と思うものの、苦手な相手だとどうしてもそこをスムーズに行うことができず、自身のストレスもマックスに膨れ上がります。

 

どうしたら調整能力の高い人間になれるのか

調整能力の高いタイプが羨ましくてしょうがない、といつも思っています。しかし、じゃぁ、なれるかというと、努力や知識や心がけで何とかなることではないんですよね……。

資格・履歴書に書けるスキルって、しっかり真面目に取り組みさえすれば、手に入るものが多いですよね。しかし、調整能力、コミュニケーション能力、と言うのは、努力でどうにかなるものとも違う。

思えば、子どもの頃から自分は調整能力が低かった。そして、クラスには必ず調整能力が高く、誰とでもスムーズにそつなく渡り合える子がいました。

この差はいつどのように生まれたのか。家庭環境なのか親の教育なのか、私には未だに分かりません。

 

「モテ力」「調整能力」高めになるには

私が勝手に思っていることですが、人が人に対してに「この人すごい」とコンプレックスを感じる事例って、主に下記4つではないでしょうか。

  • お金を持っている
  • 仕事ができる
  • 顔・スタイルがよい
  • モテる!

 

中でも4つ目の「モテる」は、誰しもがそうなりたいけれど、どうしたらなれるのか、正解が未知数な案件。顔やスタイルも当然関係するとは思いますが、調整能力、コミュニケーション能力、等も、モテ力には大きく関係するように思います。

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誰かコツを教えてください

「調整能力」「モテ力」高め!となったら、世の中生きて生きやすいだろうな、って思うので、自分もそうなりたいし、「今さらお前は無理だよ」ってことなら(^▽^;)、息子をそのように育てたいと思うわけです。

しかし、どう育てたら「モテ力」「調整能力」が身につくのか、私にはさっぱり分かりません。ふと思うのは、長男長女って、調整能力低い場合多くないです? ちなみに私は長女です。あと、保育所からの知り合いの例ですが、めちゃモテ父の息子は、やっぱりモテてました。しかも努力とか関係ないちっちゃいときから。フェロモンが遺伝してんの!?

子どもの時から、モテモテ人生です💛 

調整能力とコミュニケーション力で世の中渡ってきてます。

そういう方、どうやって身につけてきたのか、ぜひコツを教えてください。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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