どうも、tamaminaoです。
皆さん、永遠の命や若さがほしい、って思ったことありませんか? 実は先日ついに51歳を迎え、「お誕生日おめでとう」と祝われることに…あんまめでたくねぇな、などと卑屈な思いを抱えるようになりました。
もうこのあたりで止まりたい、などとも考えてしまいます。
まぁしかし、自分一人が永遠の命や若さを持つということは、多くの大切な人たちを失い見送っていく役回りになるわけで、それを考えると、順当に年を取ってこの世から消えていくことがやっぱり幸せのカタチなのかなと思ったりもするわけです。
ということで(どういうこと?)、本日紹介したいのは、最近の一押し漫画『葬送のフリーレン』なんですよ!!!
勇者一行の「その後の物語」
魔王を倒しにいく勇者一行の物語、というと、今や一つのステレオタイプになっており、ゲームや漫画にあふれている設定かと思います。『葬送のフリーレン』の新しいところは、勇者一行が既に魔王を倒したところから始まり、勇者たちの「その後の人生」が描かれていくところ。
勇者一行の一人だったエルフ、フリーレンの目線で進んでいくのですが、彼女は1000年越えの寿命を持つエルフ。10年に渡る旅もそこで得た栄光も、彼女にとってはほんの短い期間の出来事に過ぎません。
周囲とは違う時間軸で生きる故に、魔王を倒しにいく過程での仲間との交流ややりとりも大したことと捉えていなかったフリーレン。しかし、共に旅をしたイケメン勇者のヒンメルが、老いぼれた年寄りになりやがて亡くなってしまう場面に遭遇し、涙を流して「もっと人間を知ろう」と思います。
だって私、この人のこと何も知らないし…
たった10年一緒に旅しただけだし…
人間の寿命は短いってわかっていたのに…
…なんでもっと知ろうと思わなかったんだろう…
人間は二度死にます。まず死んだ時。それから忘れられた時。
フリーレンは、勇者一行だった僧侶から預かった少女を弟子にし、共に旅を続けます。そして、その旅の中で、今はいないヒンメルの言葉や行動の意味を捉えなおし、心に刻んでいきます。
本で読んだのかテレビで見たのか覚えていないのですが、私の心に残っている言葉に、「人は二度死ぬ」というものがあります。ずっと仏教の教えだと思い込んでいたのですが、このブログを書くに当たって調べてみたら、何と永六輔さんが遺した言葉なのだそうです。
人間は二度死にます。
まず死んだ時。
それから忘れられた時。
なかなかぐっと来る物言いですよね。ヒンメルはなくなりましたが、彼の言葉や行動を思い続けるフリーレンがいることで、ヒンメルは彼女の中では「生きている」わけです。
人間には想像もつかない長の年月を生き続けるエルフにとって、人間との別れは日常。忘れないこと、それは大切な人を二度死なせないことであり、残されたものの心に愛する人が生き続ける方法でもあるのだと感じました。
言葉を話す魔物「魔族」
2巻後半から登場する「魔族」の話も実に意味深く考えさせられます。人の姿をし同じく言葉を話してくるものの、実のところそれは「わかり合うための言葉ではなく、欺くための言葉」。「人を食らう捕食者」である彼らにとって、言葉は人類を欺く術でしかないのですが、人間は彼らの口から出る「お母さん」などの言葉に騙され、殺されていきます。
言葉と心でわかり合える、そんな幻想が人間同士のつながりを形づくっているのでしょうが、そのつながりをついてくる「魔族」という存在が実に気味が悪い。また一方で、最近のさまざまな事件を見ていると、「魔族」のような違う倫理観で生きている人間も増えてきている気がして…色々考えさせられます。
また、もう少し話を大きくすると、このところAmazonの創業者ジェフベゾスや前澤友作等、いわゆる「お金持ち」( ´艸`)たちが宇宙旅行へ行きますが、宇宙には、完全に人類とは違う感覚で生きている「魔族」のような別種も存在するのかもな、なんてことも考えたり。これは、最近、息子と一緒に『エイリアン』を見たせいです(^▽^;)。
ファンタジックかつノスタルジックな佳作
ノスタルジックで胸の奥に染み入る、大人の鑑賞にも耐えうる佳作。永遠の命や若さなんてことを時々考えちゃう(むしろ中2病でしょうか)50オーバーの皆様にもおすすめです。
マンガ大賞2021の大賞受賞作!
実は今年は個人的には好きな作品が花盛りで、『チ。―地球の運動について―』(魚豊)、『推しの子』(赤坂アカ×横槍メンゴ)、『女の園の星』(和山やま)などなど、いい漫画がたくさんありましたが、それらを抑えての大賞。
読んでみると、「なるほど、これは大賞だわ」って思います。切なさの中に、くすっとした笑いが散りばめられているところも魅力です!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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