ここ10年ほどのことらしいですが、数学関連の本がブームです。
私的にはこのブームに追いついた?のはここ最近のことで、きっかけはオンライン講座と動画。
『とてつもない数学』の著者永野裕之さんの講義をSchoo(スク―)で聞いたこと、中田敦彦さんのユーチューブで「数学をつくった天才たち」の回を見たことで「すっごい面白い」と目覚めました。
- 『世にも美しき数学者たちの日常』二宮敦人
- 数学者になるには閃きとセンスがすべて
- 今生きている人類の中で一番頭のいい人、サハロン・シェラハ
- 天才的な中学生「ゼータ兄貴」
- 二宮敦人の他の作品も超おすすめ!
- スゴいタイトルですが 『18禁日記』も面白い
『世にも美しき数学者たちの日常』二宮敦人
今回は私が直近で読み終わりました、二宮敦人さんの『世にも美しき数学者たちの日常』(幻冬舎文庫)を紹介します。
この本は、作家の二宮敦人さんが、さまざまな日本の数学者に会いに行き、数学者とはどんな人なのか、数学への熱い思いなどをインタビューしたもの。
二宮敦人さん自体が数学に詳しいわけではないので、目線が読者の私たちと同じで、軽く読み進められる内容になっています。
一方で、もう少し、「数学」の学問的な解説や深みがほしかった、という面はあるのですが…偉人的な数学者ではない、日本の数学者たちの姿に迫った、という面では面白い試みだと思います。
中高生でも楽しく読める内容です。数学に興味を持ってもらう第一歩として親子で読むのもよいと思います!
数学者になるには閃きとセンスがすべて
登場するさまざまな数学者たちが口をそろえて言うのが、数学者になるには、努力では難しく、閃きとセンス、つまり才能が必要だ、ということ。
『この人はこのぐらいのレベルだな』というのは、少し数学的な議論をすればすぐにわかってしまいます。学生とでもそうだし、数学者同士でもそう。だから怖い世界ですよね。他の世界ならもっといろいろな要素があるから、努力でカバーできる部分もあるでしょう。でも数学は閃き、センスみたいなものが占める部分がかなり大きいので、ダメな時は本当にダメ。で、そういう人をどう扱ったらいいかというのは、本当に難しい問題なんです。
かつで読んだ本で(タイトル等失念してしまったのですが)、理論天文学者が、やはり才能オンリーだ、と書かれていたことを思い出しました。脳の中に宇宙空間を作り、その中で計算し考える、という一種独特な思考が求められるため、努力どうこうではなく、無理な人には絶対に無理なのだそうです。この分野ではホーキング博士が有名ですが、「天才」を地で行くような人が活躍する世界なのだと思いました。
数学者、というのも、理論天文学者のような独特のセンスが求められる学問、ということなのでしょうね。
今生きている人類の中で一番頭のいい人、サハロン・シェラハ
この本の中では、「天才」と称される人物が2人、出てきます。
1人は、イスラエルの数学者、サハロン・シェラハ。半年間ほどサハロン・シェラハの助手をしてたという神戸大学教授の淵野昌(ふちのさかえ)先生によると、「たぶん今生きている人類の中で一番頭のいい人」。
僕が彼の助手になった時にね、助手を長らくやっていた方に言われたんですよ。『サハロンを人間だと思ってはいけない、宇宙人みたいなものだと思わないと、やっていけないよ』と。宇宙人なら何でもありでしょ?それくらいの人なんですよ。彼に比べればもう、他の人は全部同じ、どんぐりの背比べみたいなもので
すごいですよね。「人類の中で一番頭のいい」「宇宙人」と称されるくらいのレベル。
当然そうそういないと思いますが…皆さん、こういうとんでもない「頭のいい人」って出会ったことありますか? 私がこれまで会った中で、「この人、すごすぎる」と思ったのは、ある雑誌の取材でインタビューに伺ったベンチャー企業の若社長。
専門的な分野だったので、インタビューの質問もなかなかに難しい内容だったのですが…無駄な贅肉が一切ない返答がすべてに却ってくるんです。そのまま一言一句変えずに本に載せられる、というレベル。あまりのキレッキレぶりに、くだらない質問はできない、とものすごい緊張してビビったのを覚えています。頭の良すぎる人って、相手を威嚇してしまうんだな、ってその時思いました。
天才的な中学生「ゼータ兄貴」
さて、ちょっと話がそれましたが、このサハロン・シェラハともう一人出てきた「天才」が、私はとても気になりました。それは、本が書かれた当時まだ中学2年生だった、ハンドルネーム「ゼータ兄貴」なる人物。
数学者も努力はされてると思いますけれど、天性のものの方がでかいと、勝手なイメージを持ってますね。できる人ってもう、子供の時からできるんで。『ゼータ兄貴』とかいるじゃないですか、彼はもう、超が何個もつくくらいの天才だと思います
(中略)
彼はゼータ関数という数学の一分野にふと興味を持ち、独学で勉強を始め、あっという間に大人顔負けのところまで理解を進めてしまっているという。その理解力、成長速度が尋常でないのはもちろん、まだ中学生というところがすさまじい。
この「ゼータ兄貴」を名乗る中学生、同じクラスに数学オリンピックに取り組んでいる人がいて、面白いのかな、とネット検索をし、ゼータ関数について書かれたブログ記事を見つけ、読み始めたのが興味の始まりだそう。
すごいのは数学への興味だけで終わらないところ。「数学の論文を読むために」英語の勉強を始め、他の言語の論文もあるので、フランス語、ドイツ語も学び、「なんか音が可愛い」という理由でフィンランド語にも興味を持っているのだとか。何という素晴らしい広がり方!
最近はいろんなことに興味がありすぎて、時間が足りないのが辛いですね。睡眠時間も二時間くらいですし
こんなものすごい中学生、学校の勉強もさぞやできることだろう、と思ったら…テストでの点は「あんまり取れない」とのこと。
学校でやる数学って、ある意味基礎の基礎くらいじゃないですか。だから本当に面白くないというか
(中略)
なんか、学校って何で行ってるんだろうって最近思い始めていて。別に自分、学問に興味ないってわけじゃないんです。それなのになんだろう…なんかよくわからなくなっちゃいましたね
- 学問的な興味を持って学ぶ、ということ
- いわゆる学校の勉強で点数が取れること
これらは別物なんだな、と考えさせられる発言でした。こういう規格外の子供を伸ばすことのできる日本であってほしいですが…学校という枠組みの中にいる間は、「学校の勉強」ができる子供、の方が評価されてしまう気がします。彼の才能や幅広い学びへの姿勢を育てていける場所をぜひ見つけてほしい、と思いました。
二宮敦人の他の作品も超おすすめ!
二宮敦人さんの作品は他にも色々読んでいるのですが、藝大生を取材したノンフィクション、『最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常』(新潮文庫)も超絶おすすめです。在学中のアーティストたちの常人とは異なる変人エピソードが満載で、報復絶倒ですよ!!
私は、キャンパス内に出没するというブラジャー・ウーマンにやられました。
顔にブラジャーをつけ!! 胸には何もつけず乳首の部分だけ真っ赤なハートで隠し、下半身は黒いタイツの上にピンクのパンティをはいている、といういで立ちで、キャンパス内に登場します(爆)。彼女も実は現役の藝大生なんです(※当時)。
あっ、後、当時まだ学生だったKing Gnu(キングヌ―)の井口理さんのインタビューもひっそり載っています。King Gnu(キングヌ―)のコアなファンの方はご一読を。
スゴいタイトルですが 『18禁日記』も面白い
『世にも美しき数学者たちの日常』、『最後の秘境 東京藝大:天才たちのカオスな日常』はどちらもノンフィクションですが、小説も面白いです。特に『18禁日記』。
タイトル通り、なかなかに狂っていて毒があって素敵です。うちの息子は、この表紙のまま中学校の朝読書に持っていき、「あいつ、やべぇ本持ってきた」とクラス中の話題をさらいました(爆) お子さんが読むときはカバーをつけてあげましょうW
中学生以上ならOKの内容かと思いますが、多分、うちの基準はかなり緩いので( ´艸`)「これはちょっと…」と思う方は、まずは親が読んで判断してあげてくださいね。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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